05’秋ヶ瀬  <準備編>


九月のある日、教祖さま(言う迄も無いが、くわまん氏)からメルが来た。
今年も秋ヶ瀬のスクミで「通勤SS」をやるので如何?というお誘いのメルだった。
去年の通勤SSで、初めてSSって言うものに参加したのだが、はっきり言ってかなり寒いタイムしか出せなかったし、
普段、「通勤仕様」を看板に出している手前、ばっくれる訳にもいかない。
そんなワケで、「参加します〜」と返事を出した。

とは言うものの、去年の暮れにピストン割って以来、ウチのは101cc+VM18の完全通勤仕様車で、
今のままSSに出ても記録更新は望めそうもない。Nボアの限界に挑戦するのも有りだとは思ったけど、
限定クラスとは言え、やっぱり競技なので、参加する事に意義があると言いつつ、一応、出来る範囲で頑張る事にした。

「通勤SS」の細かいレギュは、教祖様のHPを参照してもらえば分かる通り、要は「エアクリ+ノマフでSS」って言う事で、
私にとっては普段通りでOKなので、特別なことをする必要はないのだが、今回は、

「開け開けしちゃった時に使おうと思って買ったスペアエンジン(分解済み)」と、
「腰下割るなら交換する決まりになってるロングクランク(笑)」がある。

とりあえず、こいつらを使って「秋ヶ瀬仕様エンジン」作ってみようかな・・・ >あと一ヶ月しかないけど



腰下編

腰下組むのは二回目だが、前回は「当日自走でバイク屋まで行って、その場で組み替えてまた自走で帰る」パターンだったので
腰下に細工なんかしている暇はなかったのだが、今回は別エンジンの加工なので、前からやってみたかったパテ盛りなんぞやって見た。
パテは毎度おなじみの金属用エポキシパテで、リードブロックの辺りと掃気通路の辺りに適当に盛りつけた・・・

剥がれたら悲惨な結果が待っているとは思いつつ、やらずにはいられないのが末期患者の性。


天一堂51.5mmロングクランクこんな事して平気なのか・・・クランクインストーラ

ベアリングは6205(並)である。決して高精度型が買えなかったからではない。これにも諸説あるのだが、高精度型のベアリングだと、
台湾精度のクランクケースの『ズレ』が吸収できないと言う説を採用した為だ。(並級の方が安かったからと言うのもかなり有り)
ケースへのベアリング挿入は、ケースを電熱器で加熱して若干熱膨張させるとすんなり入った。
クランク自体は、前回の反省をふまえて、ケースとの干渉を避けるため、組み込む前に旋盤でウェブ外周を0.1mm位削った。
また、一次圧縮を上げるために大端ピンの両側をアルミで塞いである。
クランクの組み込みは、以前作ったセパレータでやろうかとも思ったが、ベアリング外輪を固定して内輪を引っ張るのが気に入らなかったので、
インストーラなんぞ作り始めたら、結局これに2時間以上・・・、腰下組むだけで半日掛かった。

駆動側腰下組立の図

今回は最初から「秋ヶ瀬用」って言う事で組んでるので、セルモータも外して、穴はアルミ削り出しのプラグを圧入して埋めてしまった・・・
まぁ、キックが有ればEgは掛かるし問題ないぢゃろ
・・・


腰上編


腰下が組み終わった後、実は紆余曲折があってシリンダがなかなか決まらなかったのだが。結局、某所より入手したφ55台湾ボアKITに
決まった・・・(この時点で後10日程)
何故φ55にしたかというと、

 
「φ55以上だと、原付の排気量超えて後ろ指差されそうだったから」

と言うのは半分本当で、後の理由は「やたらと出来の良い掃気ポートに惚れた」からだ。実際、各ポートの高さはきちんと揃ってるし、
変なバリもなく、掃気の方向も無問題。台湾尻はこれで3基目だが、こんなにイイ感じなのは初めてだ。
掃気はヘタに弄らず、そのままで行くことにしたので、後は排気だけ。どんな排気ポートにするかちと考えたが、どうせ通勤レギュでノマフ縛り
なので、やたらハイポートにしても回らないだろうし、一次圧縮上げる加工もしているので、排気ポートもあまり上げずにトルク側に振った
特性を狙ってみることにした。
結局、元々のポートを1mmほど上げ、幅もスタッド対角程度までにしたので、排気ポートの加工は2時間くらいで終了。・・・
とりあえずピストンは、別に仕入れてあったDトナの補修用を使うことにして、ピストンヘッド磨いたりした。

後はヘッドが有ればとりあえず組める状態になるが、ヘッドはその昔使っていたφ55用を削り直して、11ccでとりあえず組む事にした。
だが、フツーにヘッド加工するのもいい加減芸がないので、今回は『デトネリング付き』って奴を作ってみた。
(見て分かる通り、これは「改造小僧さん」のパクリだ・・・本家のような腕がないので、出来は当然劣るが・・・・)

φ55シリンダ上死点だとこんな感じデトネリング付きヘッド 位置決めノックピン新設

・追記:この「φ55ボア」、某所から入手って書いてあるけど、KN企画の「ハイグレードボアKIT」だったりする。
    SS直前にシリンダ探しにKN横浜に行ったら、ササキさんが発売前のφ55を特別に出してくれたのだ。
    シリンダ自体はDトナとよく似ていると言われるが、ピストンは別物なのでKNの方がお勧め。
    何故か、理由は↓  笑


・駆動編

とりあえず51.5ロング+φ55ボアで組んでは見たものの、どんな特性なのか皆目見当も付かないので、いきなりヘンタイな駆動組んじゃうと
ハマルのがオチだ。とりあえず手持ちの駆動の中で「マトモそうな奴」で組む事にしたのだが、良く考えたら無加工のプリなんて純正5FA位しか
持ってない・・・。うーん、ただでさえ出費がかさんでキビシイ財政状況なので、プリは高速側だけ加工したPD3で行くことにした。


しかしココで問題発生、「これ、ボスガタガタですが」・・・・orz

うう、使えそうなプリはこれしかないし参ったなぁ・・・ を、そう言えば昔ナプのガラクタ市で買ったスズキのボスがあった。
スズキのφ23ボスに合わせて、プリのボス穴加工。OK、とりあえずこれで・・・
セカンダリ側も考えたが、やっぱりSSと言う事でベルト落とし込みたいし、そうなると5FAや3AAだとかなりベルトがはみ出してスリップする気配だし
ここはBBさんに譲ってもらった「FSN3ガイド」の大径セカンダリで・・・クラッチはKNかデルタか・・・デルタでイイや。
あとは手持ちの(使い古しとも言う)ベルトの中からヨサゲな奴選んで・・・

我ながら適当な選択・・・笑


プライマリセカンダリ
 


・Eg換装

そんなワケで、何とか秋ヶ瀬用Egが組み上がったのが秋ヶ瀬の前の週の金曜日。翌土曜日にEg換装して後はひたすらセッティングなのだが、
Eg換装は、「一人でやると腰にダメージが」・・・ トシは取りたくないものだ。
何とか載せ替えて、キャブはPEをそのまま使い、エアクリだけ「秋ヶ瀬仕様」の大穴バージョンにして、とりあえず試走。

 
「ケッチン喰らいました」
新旧Eg・・・しかし汚い秋ヶ瀬仕様エアクリ

うぉ〜これが一次圧縮UPの効果か・・・などと思いつつ、半日くらい走り回っては路肩setを繰り返し、何とか普通に走るようにはした。
何せ通勤号なので、走れないと月曜日会社行けないから。 笑

・お約束

とりあえず走るようにはなったので、通勤に使いつつ、多少なりともセッティングを詰めようと努力はしていたのだが、そう簡単にsetなんて出る訳もない。
あーでも無いこーでも無いと悩みつつ走っていたら、V100に遭遇。結構イイ勢いで走っていたので、つい反射的に開けた。まぁ、変態さんなら普通、
本能的に「抜かれたら抜き返す」はずだ。当然、set中とは言えノマルなV100に負けるはずもなく、「ぬわわ」位できっちり抜き返したのだが、その直後

「もの凄くイヤな感じでEgストール」・・・

色々な事が脳裏を駆けめぐったが、止まり方が「開けたとき」の感じだったので、「もはやこれまでか・・・」と観念して路肩に止めてとりあえず一服。
キックしてみるとスカスカではない・・・?? 家から2km程の所だったので家まで押して帰ってシリンダ開けてみると

「こんな感じになってましたが・・・・」

またしてもピストン割れ・・・



幸い、シリンダにはほとんどダメージがなかったので、ボア付属のピストンで復旧したが、Dトナピストンもやはり台湾製と言う事なのか・・・・
もっとも、この所セッティングと言っても、発進から「やわ」位までしか見ていなかったので、TOP付近は全然合ってなかったのかも知れないけど。
秋ヶ瀬まで後4日・・・こんな状態で大丈夫なのか>俺